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【茶の湯】コロナ禍の 茶の湯の稽古に復帰して

出産前に休みに入り、約2年ぶりに茶の湯の稽古へ復帰しました。
11月の最初のお稽古、ちょうど「炉開き」でした。

現代では炉の季節は11月〜4月、風炉は5月〜10月となっています。

”11月の立冬を待って炉を開くことを「開炉」「炉開き」といい、その年の春に摘まれた新茶を使いはじめる口切の茶の頃と重なって、開炉の頃は茶の湯の正月ともよばれる。千利休の頃は柚の色づくのを見て炉を開く”とされていたそうです。 (表千家不審菴:茶の湯用語集より)

柚子の実が色づいていく変化を見ながら「炉開きもそろそろかな?」とタイミングを感じていたのでしょうか。茶壺に詰められた新しいお葉を味わう楽しみを待ち侘びていたことも想像できます。
今は1年中同じ品質のお茶が手に入りますし、自分で碾茶を擦り抹茶にする手間もかかりません。私は近所に柚子の木がどこにあるのかも思い当たらないくらい、そういう情景が日常と離れてしまっています。

 

初釜の柳
初釜でつかう大きな柳の枝も、身近にあるめぼしい柳の木から拝借するものだったかと想像しています。しかし、私の通うお稽古場では近所にそのような柳がありません。以前は離れた里山にある社中の方の親戚のお宅から頂いたリしていたそうですが、だんだんご高齢になりコロナ禍ということも重なり、次回はそれができなくなりそうです。
近場のお花屋さんでは「柳はもうやめてしまった」と取り扱いを終えたことを告げられ、最終手段に銀座の茶花を扱うお花屋さんまで柳を求めて買いに行くことになりそうです。
なんだか、ここまで来たら茶の湯は本当に贅沢な趣味で、私の身の丈に合わず、続けていいことなのだろうか…と思ってしまうこともあります。

来年の初釜も今年に続き、コロナ禍で控えることとなりました。
ですが、稽古はじめの日くらいは少しその雰囲気を味わってもいいのかな?と、先生は柳を飾ることを考えてくださっているようです。
自然相手のものなので、お花の用意が一番頭を抱えることだそう。

 

お稽古に復帰したら、
コロナ対策でお稽古の様子も少し変わっていました。

濃茶は皆で回し飲みはせず、各服点て(1名様ずつ茶碗で飲む)。亭主が正客の分のみ練って、次客以降は影点てをしています。一客一亭もできません。
慣れない1服分のみ練る抹茶は、湯の量の加減も難しく、初めて点てたときには濃茶と薄茶の中間くらいの飲み物になってしまいました。回し飲みをするために3〜5名様分を一つの茶碗で練っていたときには、練るほどに立ち広がる抹茶の香りや、とろりと濃厚で艶のある色味にうっとりしていたものですが、お一人様分のみ練る今は、それを目指すと飲むときに茶碗を傾けてもなかなか抹茶が下りてこず、湯が多めのきもち薄茶な濃茶をつくることになってしまいます。
みなで回し飲みをしていたのが懐かしい…

コロナの第○波…と流行が凄まじかったときには一時お稽古を中止していたそうですが、自粛が長引くにつれ、茶の湯の稽古の時間がいかに皆の心の健康を保ち、心豊かに暮らすために大切な時間だったかにも気づいたそうです。

お稽古場の中には、先生がご高齢などさまざまな理由もあり、そのまま稽古を再開せずに閉じられたところもあると聞きました。

私の先生は、稽古日を増やすことで集まる人数を分散したり、点前の方法を少し変えてでも限られた中で続けるための工夫をしてくださっています。
長期休みに入る前には、このような世の中になるとは全く想像もしていなかったのですが、お稽古場をしっかり守り、続けてくださっている先生や社中の皆さんに大変感謝をしています。戻れる場所があって、本当によかったです。

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